■ 13.「素敵な生活」

LastUpdate:2009/01/13 初出:YURI-sis

 熱く息づく、深紅の膣口。
 薄らと湿りを纏わせながら熱を持つ秘裂は、すっかり柔らかく蕩けてしまっていて。優しく押し開くように隠匿されたそこへとアリスが指先を挿し入れると、指先はすぐに熱く濡つ襞の中へと取り込まれてしまう。

 

「ん、っ……!」

 

 一度指先が囚われてしまえば、それを僅かに動かすだけでも押し殺すような切なげな声が天子の喉から零れ出てきた。あるいは快楽も混じっているのかもしれないけれど、それ以上に戸惑いに満ちた天子の声色には、まだたくさんの不安を垣間見ることができるように思えて。

 

「あんなお茶なんか飲ませて……優しくできるなんて思ったら、大間違いよ?」
「……構いません。乱暴にされるのも、私は大好きですから」

 

 そんな風に答えてくれる天子の言葉が堪らなく嬉しくて、そして愛しい。
 軽口とは裏腹に、アリスはなるべく天子の躰を大事にしてあげたかった。優しくできる自信は正直あまりないし、今すぐにも激しく犯すことで彼女の躰に自分のものである証を残したいという欲求は、やはり心の中にあるのだけれど。……それでも、せめて初めての今回だけは優しくしてあげたかった。
 性愛に対する畏れを抱いて欲しくなかった。私は――不器用だから、きっと天子のことを愛しているという想いをようやく自覚できてしまった今でも、それを普段から上手く口にすることはできないだろうから。自分の気持ちに対して正直になれるのは、きっとこんな風に天子のことを抱き締めることができる瞬間だけだから……彼女にそうした時間を共に過ごせることを恐れて貰いたくはなかった。

 

「好きよ、天子――」

 

 性愛の最中でなら、きっと何度でも、正直に言える言葉がある。
 だからこそ、アリスが倖せに感じるこうした時間を、ただ彼女にも倖せとだけ感じて貰えたなら。

 

「はぁ、ぅ……!」

 

 天子の躰の中に挿し入れていたままの指先を、ゆっくりと引き抜いてしまう。
 硬すぎる指先では、まだ慣らされていない天子の秘所を傷つけてしまいそうで。指先の代わりにアリスは彼女の下腹部へと顔を近づけると、唾液を纏わせた舌先をぴちゃりと秘所へと這わせた。

 

「き、穢いですよぅ」
「ふぉんふぁふぉと、ふぁいふぁほ?」
「はぅんっ……! そ、そこで喋らないでくださいぃ」

 

 ミルクを舐める猫のように、彼女の秘裂に添って舌先を這わせていく。秘裂から滲む愛液を舐め取るようにすると、舐め取る端から新しい愛液が滲んできてしまってきりがない。でも、それも(天子が私の舌に感じてくれているからなのだ)と思えば、ただアリスには嬉しいことでしかなかった。
(……まるで肉食獣にでもなった気分ね)
 同時にそんなことも思ってしまって、アリスは内心でくすりと笑む。天子の躰で一番弱い部分の味を確かめるかのように、アリスは舌を何度でも這わせていく。

 

「ふぁ……ぅ、ぁ……んっ」

 

 舐めさする度に漏れ出る、切なげな声。声色から十分に感じてくれていることを理解すると、アリスは少しずつ舌先を彼女の秘裂よりも内側、少しずつ深い場所を求めて挿入していく。

 

「ぁぅ、ぁ、ぁ……!」

 

 幾度も細かく震える天子の躰、細かく漏れ出る嬌声。声色にはまだ畏れの色が僅かに聞こえるけれど、同時にアリスの舌で感じてくれていることもわかるから。彼女の不安を少しでも拭い取るような気持ちで、彼女の膣口にある襞を舐め取っていく。