■ 59.「偏屈な言葉」

LastUpdate:2009/02/28 初出:YURI-sis

「好きだよ、パルスィ」
「あぅ……」

 

 僅かな言葉の切れ端。ただそれだけにさえ、ますますパルスィの躰は熱を生み出してしまう。偏屈さ故になかなか気持ちを吐露できないパルスィに対して、ふとした拍子に眩しい程の真っ直ぐさでぶつけられてくる勇儀の言葉が、パルスィの心へと深く響かない筈がない。まして――それが最愛の人からの、それも最も望むべく言葉であるとなればなおさら、どうして心乱さずになどいられるだろうか。
 同時に、そうした愛の囁きはパルスィから抵抗の意志を奪うのにも十分な効果を持ち合わせていた。元々まるで叶わないというのに、力任せだけではなく、囁きひとつでパルスィの躰から僅かな力さえも奪い取ってしまう。
 勇儀が囁いてくれる『好き』の言葉。甘い言葉は、それひとつだけで身も心もふにゃふにゃに蕩けさせてしまうかのようで。いまも勇儀の腕に拘束されているというのに、戒めの中で無駄な抵抗を行うささやかな力さえ、直ちに枯渇していくかのようで。囁きの齎す甘い弛緩が心にさえ及べば、もう(抵抗しなければいけない)という意志までもがパルスィの中から奪い取られてしまうかのようだった。

 

「ん、ぁ……ぅ……」

 

 閉じることさえ叶わない両脚の間。股の付け根辺りに、今までのように膝を押しつけるような無骨なものとは異なった、繊細な感触があった。左手一本で容易くパルスィを戒めてしまう勇儀には、未だ右手一本分の自由が残されているらしくて。勇儀の指先がまさぐるようにパルスィの下腹部を撫ぜてくる。
 身動きを封じられて、抵抗の意志さえ剥ぎ取られて、その上脚を閉じることさえ叶わない。あまりにも無力なパルスィの躰の上を、勇儀の右手が好き勝手に動き回っていた。こんな乱暴な愛され方なのに、その指先が投与する刺激はどんなにも繊細で。静かに、けれど確実にパルスィの性感を昂ぶらせていく。

 

「……はぁ、っ……」

 

 一際熱い声が漏れててしまうのさえ無意識のことで、気付いた時にはもう発せられてしまっていた。
 初めは優しく触れるような愛撫。ショーツ越しに降り積む優しい刺激のせいで、少しずつ自分の躰の温度が高められてしまっていく実感さえ、パルスィには感じられていた。
 秘裂をなぞるように、あるいはその上に膨らむ、敏感な突起の近くを少しだけ刺激するかのように。今もパルスィの両手を拘束し続けている以上、相当に不自由な体勢である筈なのに。それを感じさせないほどに精巧かつ緻密に這いずる愛撫の指先は、忽ちパルスィの心の総てを捉えて離さなくなった。