■ 4.「群像の少女性01」

LastUpdate:2009/05/04 初出:YURI-sis

「あ、あんまりじろじろ見ないでくれ……」

 

 普段の強気な魔理沙さんからは決して聞くことが出来ないような、微かに震えた声が何だか可愛らしくて。早苗は微笑みながら、けれど視線だけは彼女から逸らさずにじっと見つめ続ける。恥ずかしい気持ちは判るけれど、それを言ってしまえば魔理沙さんと同じ裸を晒してしまっている早苗のほうも恥ずかしいのだ。それに……こうして魔理沙さんと愛し合える機会を、どれほど夢見てきたか判らないぐらいなのだから。想像の中で幾度となく馳せてきた魔理沙さんの躰を、視界のまま脳裏に焼付けるぐらいは許して欲しかった。
 魔理沙さんの躰は早苗が想像していた以上に華奢で、もしも強い力で抱き竦めてしまったなら折れてしまいそうにさえ感じられる程で。露出が少ない上に体型が判りにくい普段の格好のせいだろうか、あまりの痩躯に早苗も少なからず驚かずにはいられなかった。
 実際、早苗の力でも軽く押すだけで、簡単に魔理沙さんの躰はベッドに押し倒されてしまう。小さな軋みの音と共に、ばふっと柔らかく魔理沙さんの躰を受け止めたふかふかのベッドから、仄かに魔理沙さんの匂いがしたような気がした。

 

「……好きです、魔理沙さん」
「わ、私も、好き……だぜ」

 

 裸同士で触れあわせる唇は、またどこかいつもと感触が違うような気がした。
 軽く触れあわせるだけの、約束のキスのあと。暗がりの中で早苗の手のひらは魔理沙さんの躰の上を求め彷徨う。お腹に、乳房に、あるいは下腹部に。魔理沙さんの総てを求めたいと願って止まない指先が、少しだけ荒々しく彼女の肌を這いずると、声こそ上がらないまでも幾度か熱っぽい吐息が魔理沙さんの口元から零れ出てきた。

 

「ぁ、ぅ……」

 

 魔理沙さんは何も抵抗せずに、早苗の愛撫を受け入れて下さった。魔理沙さんの躰の総てを確かめようと蠢いていた早苗の指先は、やがて魔理沙さんの躰の敏感な場所を重点的に求め始めてくる。早苗と同じで殆ど膨らみらしいものを確認できない乳房、その中で早苗の愛撫に唯一屹立して応えてくれている乳首の突起。
 胸を心ゆくまで堪能したあとには、すぐに続いて下腹部の方へと早苗の指先は撫で降りていく。汗なのか、それとも別の何かなのか。僅かに湿り気を帯びた足の付け根の辺りを弄っていくうちに、そこだけ明らかに異質な、ぬるっとした何かを湛えた部分にまで辿り着く。

 

「ふぁ、ぁ……!」

 

 濡れそぼつ蜜だけでなく、魔理沙さんの静かな喘ぎがその場所の意味を雄弁に語っているみたいだった。
 早苗の指先が、確かめるように柔らかな襞を押し開くと。まだ熱を抱くほどの温かな濃蜜が、早苗の指先を包み込んで応えてくれた。

 

「もう、随分と濡れてらっしゃるんですね」
「……そ、そういうことは、言わないのが礼儀だと思う、ぜ」

 

 彼女の躰の中に少しずつ指先を差し入れていくと、それに合わせて大きく魔理沙さんの躰が身じろぐ。
 こんなに小さな部分に、魔理沙さんの総てが詰まっている。その場所に触れることを許されている自分が、堪らなく果報に思えて。愛しすぎる人に埋める指先に合わせて、早苗もまた静かに感じ入っていた。