■ 42.「群像の少女性07」

LastUpdate:2009/06/11 初出:YURI-sis

 萃香のことはよく知っているし、長い間生きていることも、相応の知識を備えていることも知っている。それに一度は弾りあった経験もあるせいか、彼女の強さを霊夢は身に染みて学んでいるから。だから一緒に住んでいて萃香のことを子供だなんて思ったことはなかった。
 けれどいざこうして愛するために布団の上で萃香の躰を組み敷けば、その躰は小柄を通り越して稚い少女のように小さく、なんだか霊夢は得も言われぬ罪悪感のようなものさえ感じずにはいられなかった。無論、萃香は相応の年齢を重ねているのだし、小柄とは言ってもその気になればたちまち霊夢の躰を押し飛ばす程度の力は軽く有している彼女なのだから、そんな意識を感じる霊夢の方が間違っているのだとは判っている。判っているけれど、本当に……萃香の躰は本当に稚く、なのにこれから激しくその肢体を求めなければならないことを思うと、どうしてもそう思ってしまう気持ちは振り払えなかった。

 

「本当にいいのね?」
「くどいよ、霊夢。嫌だったら、素直に押し倒されたりなんてしないもん」
「そうね。……そうよね」

 

 萃香が、私と愛し合うことを受け入れてくれている。求めてくれている。
 実感させてくれる彼女の言葉が、霊夢の心を大分軽くしてくれた気がして。静かに霊夢は、萃香の身につけている衣服に指先を掛けていく。シャツのボタンに手を掛けてひとつひとつを解いていくと、開けられていくシャツに従って鎖骨から順々に萃香の白い肌が露わになっていく。
 そう、萃香の肌はその健康的な無邪気さとは裏腹に、透き通るような白さを湛えているかのようだった。前々から下着を身につけていないことには薄々気づいていたけれど、案の定シャツのボタンを全部取り払ってしまうと簡単に萃香の胸元はその全部が霊夢の視線の先に晒されてしまう。

 

「……胸を見られることが、こんなに恥ずかしいとは思わなかった」
「見る方も案外恥ずかしいから……お相子かもしれないわ」

 

 萃香が顔を真っ赤にしていることはすぐに見て取れるけれど、見えないはずの霊夢自身の顔も酷く熱を持っていて、きっと真っ赤になってしまっていることが簡単に判ってしまう。萃香も、霊夢も、どちらも相手の表情を見つめることができない。――恥ずかしすぎるのだ。
 およそ隆起らしいものが見あたらない萃香の乳房にも、けれど霊夢は深い魅力のようなものを感じずにはいられなかった。そっと手のひらを宛がうと、ぴくっと僅かに震えながら、けれど萃香の乳房はしっとりと湿った質感で霊夢の手のひらに吸い付いてくる。それがなんだか嬉しくって、霊夢は静かに撫ぜるように萃香の乳房を優しく求めていく。

 

「……ん、はっ」

 

 静かな喘ぎにも似た声が、萃香の口元から漏れ出てくる。純粋に擽ったかっただけかもしれないし、あるいは他の何かを霊夢の愛撫から感じ取ってくれた証拠なのかもしれない。何にしても霊夢の求める手のひらに呼応して萃香が呼吸を乱してくれているのかと思うと、そんなことさえも静かな喜びとなって霊夢の心には届いていく。