■ 43.「群像の少女性08」

LastUpdate:2009/06/12 初出:YURI-sis

 辿々しくも萃香の乳房やお腹を確かめるように触れ求めていくと、霊夢のそうした行為のひとつひとつに萃香は反応して応えてくれるかのようだった。時に小さな喘ぎを漏らし、時に細かく躰を震わせ、まるで霊夢の愛撫の総てに何かしらを感じ取ってくれているみたいにも見える。
 躰を誰かに委ねるって、多分とても居心地の悪いことなのだと思う。こんなの、ずっと自分ではない指先に擽られているようなものだから、萃香だってそう思わない筈がないのに。それなのに萃香が決して止めようとは言わずに、触れられることでも何かを必死に与えようとしてくれているみたいに霊夢には思えてならなかった。初めての経験で、どうしていいか判らずにただ欲情のまま萃香の肌に手のひらを重ねている霊夢よりも余程強固で明瞭なものを、萃香は愛される体で伝えようとしてきてくれている――それが、霊夢にも深く伝わってくる。

 

「……ごめんね、不慣れで」

 

 そうした萃香の想いは勿論嬉しい以外の何物でもないのだけれど。……ただ、萃香が必死に頑張ってくれているにもかかわらず、上手くできないで居る自分が霊夢は酷く申し訳なかった。

 

「霊夢が慣れていたら、そっちのほうが私の方が嫌だよ」
「萃香……」
「うん、だから謝ったりしないで、霊夢に触って貰えるのは私にとって凄く幸せなことなんだから。……勿論少しは擽ったいと思わないでもないけれど、それだって私ができるせめてもの努力だと思えば辛くなんてないんだ。私は……霊夢に頑張って貰うばっかりで何も返せないから、せめてこんな形でも応えられることが嬉しいんだよ」

 

 萃香の言葉に、霊夢は心の中で首を傾げる。――それは違う。萃香のほうが私なんかよりも余程沢山頑張ってくれていて、私はそれに甘えているだけで。だから私の方が、よっぽど萃香に返さなければいけないものを沢山抱えているというのに。