■ 52.「群像の少女性17」

LastUpdate:2009/06/21 初出:YURI-sis

「よっ」

 

 そのまま暫く二人で無為に時間を過ごしたあと、唐突に勢いよく上体を起こす萃香。貸していた霊夢の膝にはまだ萃香の温もりと重みが残っているような気がして、何だか少しだけ変な感じがする。

 

「休憩はもういいの?」
「うん。あんまり霊夢を待たせるのも申し訳ないしね」
「ふふっ、本当よ。おかげで随分と待たされてしまったわ」

 

 裸の萃香が、立ち上がって霊夢の傍にまで歩み寄ってくる。伸ばされてきた萃香の手のひらが霊夢の頬に触れると、それだけで手のひらの温もりに総てを委ねてしまいたい気持ちにさえなった。
 愛している萃香になら、何をされても霊夢には幸せばかりが感じられてしまう。こうして頬を撫でられるだけでも泣いてしまいそうな程の幸せを感じるというのに、霊夢がさっきしたみたいにこれから萃香に激しく求められ、愛されたりしたなら……私は一体どうなってしまうのだろう。

 

「脱がしちゃっていい?」
「……いまさらそれを聞くの?」

 

 萃香の掛けてきた言葉がちょっとだけ可笑しくって、くすりと霊夢は微笑む。

 

「あなたは私に総てを許して委ねてくれたのだから。……だったら萃香も、私に何かをするのに遠慮をしたりする必要なんて無い筈だわ。違う?」
「そっか。……うん、そうだね」

 

 霊夢の言葉に、萃香も強く頷いてくれる。
 萃香の指先は迷うことなく霊夢の衣服を捉え、遠慮せず的確にひとつずつ脱がしていく。上着が脱がされ、スカートのほうも脱がされてしまうと、あっという間に下着だけの姿にまでされてしまう。
 もう萃香は霊夢の意志を言葉で確かめるようなことはしなかった。急に薄着になってしまったせいか、内心でちょっとだけ気弱になってしまった霊夢の気持ちも知らず、萃香はさらに霊夢の頼りない布地までもを剥ぎ取っていく。
 霊夢の躰に腕を回して、胸に巻いた晒し木綿を一巻きずつ萃香は緩めていく。気を引き締める意味でも、少しだけキツめに詰めていた白木綿が僅かずつ緩んでいくと、心までもが緩められていくようで無意識のうちに霊夢の口元からは熱い溜息が漏れ出てしまう。