■ 57.「群像の少女性22」

LastUpdate:2009/06/26 初出:YURI-sis

 意識するほど純粋になる、純粋な儘に心と向き合うほど霊夢に触れたい思いは強固になる。それでも自分の中の感情が、まるで百八十度向きを変えてしまったみたいだと。萃香はそんな風にさえ思えてならなかった。
 霊夢の乳房に幾重にも残るキスの痕跡。それは霊夢の躰に自分が愛した証を残したいという欲求の具現そのものだし、誰かを愛する想いからすればとても正直な行動なのかもしれないけれど。……でも今の萃香は、それと同じ気持ちをもう二度と抱けないような気がした。こんな痣を残してまで、霊夢を自分のものにしたいだなんて想わない。霊夢が向けてくれている想いはもう十分すぎるぐらいに萃香の心に伝わっているのだから……純粋すぎる恋情は霊夢を自分のものにしたいというより、あたかも萃香のほうこそが霊夢だけのものになりたいという切実な想いに変化してしまったみたいだった。
 想いの儘に強く吸い過ぎてしまったキスの痣は痛くないだろうか。僅かに紅く滲む痕痣の上を、慰撫するかのように丁寧な舌遣いを萃香は這わせていく。傷痕を優しく慰めるような舌先で、丁寧に何度も何度も舐め擦る調子で求めていく。少し荒くなる吐息と、小さな喘ぎ。それと何度か擽ったさに身を捩らせてみせる霊夢の仕草が、今まで以上に愛おしくてならない。

 

「どうしたの、急にそんな小動物みたいに」

 

 くすりと、可愛らしく微笑みながら霊夢が訊ねてきて。
 その〈小動物〉という単語に、なるほど萃香も納得してしまう。

 

「それも悪くない、かな。ペットになれば、ここで霊夢に飼って貰えるかもしれないし」
「あら、随分と計画的なペットだこと」
「ふふっ、そうかもね。……末永く飼って貰えるように、ペットだって頑張るんだ」

 

 愛玩動物でも何でも構わない。霊夢の傍に居られる理由は多い方が良いし、傍に居ることで担うことができる役割があるのならそれがどんなものでも欲しいと萃香は切に思うからだ。
 ちろちろと、より細やかな舌遣いで萃香は霊夢の乳房を求めていく。未発達な乳房の輪郭をそっとなぞってみたり、時にはその先端を口先に含んでみたりする。さらには乳房より下の方へ少しずつ舌先を這わせていく。
 痩せたお腹の辺りにまで萃香の舌が到達すると、さすがに擽ったさが相当なものであるのだろうか、霊夢は今まで以上に大きく何度も身を捩らせて何かに耐えようとしてみせた。霊夢の反応に構うことなく萃香の舌がさらに肌をなぞっていくと、今度はやがて霊夢に残された最後の布地にまで達してしまう。