■ 59.「群像の少女性24」

LastUpdate:2009/06/28 初出:YURI-sis

 脈打つ躰、内側から溢れる熱。自分自身の躰の総てが徹底したリアルをそこに描いている。もちろん霊夢をまさに愛想としてくれている萃香の表情や吐息といったものも怖いぐらいにリアルで、これが夢や幻でなどある筈が無いと判っている。
 けれど、それなのに――不思議なぐらい、霊夢には現実感が沸かなかった。萃香が与えてくれる愛撫の感触、それに時折掛けてくれる「好きだよ」という愛の囁きは、嘘偽りないものであると判るからこそこんなにも躰の深い場所や心に届くものであるはずなのに。こんなにも真摯に、そして激しく愛されているにも関わらず、霊夢はどこか……例えるなら〈夢心地〉のようなものから、抜け出せないで居た。
 鼻腔を擽るのは自分自身の卑猥な匂い、それと二人分の汗の匂いだけ。躰は滾るような深い熱を抱えていて、それなのに怖いぐらいに気怠く、蜂蜜のように甘いものに心ごと犯されてしまったかのように不確かだ。――いっそ鮮烈な痛みでも加われば、これが確かな現実であると認識することも叶うのだろうか。きっと萃香は私を優しく求めることに徹底して傷つけてはくれないのだろうけれど……もしも乱暴に愛して貰えたなら、きっとそれはそれで幸せなことなのに、と。惚けた思考の中で、霊夢はそんなことさえ思ってしまったりする。

 

「大丈夫?」
「……ええ。大丈夫だから、気にしないで」
「ん、わかった。……じゃあ続けちゃうけれど、無理はしないでね?」

 

 続けてもいいか、問わないでくれる優しさが嬉しい。性愛を続けることを前提に、けれど無理はしないように諭してくれる萃香の優しさが有難い。優しすぎる萃香のことが、やっぱり私は好きで好きで仕方がない。
 霊夢の股間を萃香の指先が探るような手つきで求めてくる。時折萃香の指先が霊夢の内股にも触れると、そこには尋常でないぐらいに濡れた感触が感じられてしまって。自分がどれぐらい濡れてしまっているのかは、想像するに難くないことでもあった。

 

「……ぁ、ぅ……、ぅ……」

 

 指先が掛けてくる僅かな圧力、あるいは擦過。
 そうした刺激に、霊夢の躰は敏感に何かを膨らませていく。