■ 64.「群像の少女性29」

LastUpdate:2009/07/03 初出:YURI-sis

 むせ返るような熱気と、それに霊夢の匂い。舌を伸ばせば触れられるほど愛液の源泉に顔を近づけていけば尚更、そのどちらもが顕著に萃香には感じられてくる。甘く蕩けるようなものが萃香の頭を満たしていって、感覚や思考が少しずつ朧に霞んでいくかのうような感覚さえあった。
 おずおずと舌先を差し出して、霊夢の秘所に触れる。ぴちゃりと静かな水音を湛えながら、萃香は舌先で鋭敏に霊夢の味わいを確かめていく。それは何より無機質な味でいて、けれどどんなにも霊夢らしい味のように感じられて。何度も舌先で掬い取って口腔に含んでいくと、味わうほどに痺れるような特別な何かが萃香の総てを満たしていく。
 渇きに飢える猫がミルクを求めるかのような舌遣いで、何度も何度も霊夢の秘所に舌先を伸ばす。時には滴る愛液の総てを吸い尽くすかのような気持ちで、唇を貼り付けてずずっと啜ってみたりもする。吸気に紛れて激しく立てられた水音に、霊夢が恥ずかしそうに身を捩らせてきて。けれどそれでも、萃香は霊夢の秘所に唇を寄せたまま決して離れようとはしない。

 

「も、もう許してぇ……」

 

 半分泣きそうな声で霊夢がそう訴えてくる。
 霊夢が萃香の『お願い』を拒むことができないように、萃香もまた霊夢の『お願い』を拒むことができない。――その筈なのに、けれど不思議と萃香は霊夢の言葉の通りにしようという気持ちさえ、心に抱くことはできなかった。

 

「あ、ぁあ……! ふぁ、ぁあ……!」

 

 恥ずかしさが極まっているかのような、追い詰められた霊夢の声。萃香はより強く秘所に唇を立てて、霊夢のか弱い声をさらに追い詰めていく。
 甘露が頭を満たして、総ての思考を許してはくれない。霊夢が望んでいるのだから止めるべきなのだろう――少なくとも、そうした理解は心の中に認めることができるのだけれど。その認識は何故かどんなにも遠く、自制の気持ちは決して萃香の心に届かない。ブレーキを知らない過剰な心は、ただ馬鹿みたいに霊夢の秘所を求め続けていく。