■ 131.「斯く熱めく - 18」

LastUpdate:2009/09/08 初出:YURI-sis

 ショーツを脱がしたことで露わになった、さとり様のもっとも秘匿すべき場所に、そっと指先を這わせる。最初は存在を確かめるかのように優しく這わせされていた指遣いは、次第に感触を確かめられるだけの堅さを纏い、やがては愛撫を課すだけの執拗ささえ持ち合わせ始めていく。
 これまでにした行為といえば、ただ服を脱がせて差し上げただけである筈なのに。さとり様の躰には、驚くほど空の指先を受け入れるだけの準備が既に整っていた。恥毛のひとつさえ無い膨らみの先、夥しい熱を纏わせた隙間の付近を探ると、愛おしげに空の指先を絡まってくる薄まった水飴のように粘質の何かがある。部屋の照明に翳せば、きらきらと輝いて映えるその魅惑的な液体の正体を、もちろん空も知っている。
 知っていて、さとり様が嫌がるかもしれないとは思いながら……それでも空は自身の好奇心に抗うことができずに、今にも指先から滴り落ちようとする愛液をぺろっと舌先で舐め取ってみる。――もちろん水飴のように甘い味なんてするはずもないけれど、ちゃんとさとり様の躰から滲み出たものだと判る『さとり様の味』がするから不思議だった。

 

「な、舐めたりなんてしないで下さいっ……!」

 

 案の定、すぐさま発されたさとり様の抗議の声に、空は苦笑しながらすぐにぺこっと頭を下げた。

 

「ごめんなさい、興味があったので」
「……そんなのに興味なんて持たないで下さい」
「それは、無理です。……さとり様の愛液に興味を持たないなんて、できるわけないですよ」

 

 もちろん、それも本心そのままの答え。
 偽らない言葉は、当たり前だけれどそれだけで総て本心の言葉になってしまう。
 それが判るからなのか、空の言葉にとても複雑そうな顔を浮かべてみせるさとり様が、あまりにも可愛らしくて。何だかキスしたくなってしまって空がそっと顔を寄せると、けれどさとり様は意外なことに空の顔に手のひらを宛がってそれを制止してみせるのだった。

 

「お願いですから、その。……私のアレを舐めた後に、キスしようとしないで下さい……」
「あ……も、申し訳ありません。配慮が足りませんでした」

 

 眉を顰めて、先程以上に複雑そうな顔をしながらそう告げるさとり様の言葉は、あまりにも当然のもので。これには、さすがに空も自分の行為を猛省するばかりだった。