■ 134.「斯く熱めく - 21」

LastUpdate:2009/09/11 初出:YURI-sis

「――やっぱり、何度聞いても嬉しいものです」
「何が、でしょう?」
「あなたの気持ちが、ですよ。空が私に対して抱いて下さる想いはとても大きなもので、それはそのまま誰より大きな声になって私の心へ届いてくるのです。――どんなにも真っ直ぐで、信じずにはいられなくなる想い。あなたのその想いが届く度に、私は何度でも幸せな気持ちにさせられてしまうのです」

 

 心が読まれていることを知っていても、改めて説明されると少しだけ恥ずかしくも思うけれど。
 それでもさとり様のことを誰よりも愛している自信があった私を、さとり様自らが肯定して下さったこと自体は、やっぱり嬉しいことでしかない。
 本当に……いつだって、さとり様のことだけを考えている。あなたの為だけに生きたいといつだって考えている私が居て、他ならぬ私自身がそうした自分を好きで好きで仕方が無いのだ。

 

「その気持ちも、少しだけ判るような気がします」
「さとり様……?」
「先に申し上げたとおり、私は自分があまり好きではありませんが。ですが……空のことを馬鹿みたいに愛してしまっている自分のことだけは、私自身あまり嫌いではないみたいなのです」

 

 空のおへそより下の辺りに、さとり様の少しだけ冷たい指先が触れる。
 いつの間に脱がされてしまったのだろう。秘所に近い部分にまでさとり様の指先が及んできて初めて、頼るべき最後の下着さえ自分が身につけていないことに空は気づかされていた。
 緊張にか、恥ずかしさにか。頭が真っ白になって、何も考えることができなくなってしまう。怖い気持ちと躊躇いの気持ちが少しだけあって、けれどそれらを包み込んでしまう程、嬉しさや期待に犇めく心がある。どうにかなってしまいそうな自分、どうにかされてしまいたいとさえ思ってしまっている自分。不安に心こそ揺れては居ても、きっと総てが幸せにばかり繋がっていきそうな気がする。
 ――だなんて思うのは、さすがに楽観的すぎるのだろうか。