■ 148.「斯く熱めく - 35」

LastUpdate:2009/09/25 初出:YURI-sis


「ふぁ……」

 

 腕を伸ばして乳房に触れると、さとり様の喉から小さな声が零れた。
 殆ど膨らみと呼べるものがない乳房。とはいえ痩せ細るばかりで骨張ったさとり様の躰の中で、乳房だけは触れる空の手のひらに柔らかく応えてくれて、見た目には未成熟でもちゃんと女性らしさをそこには感じることができた。
 両手で撫ぜるように優しく求めれば、柔らかく温かく返ってくる感触があって。繋がった手のひらから深いさとり様の存在を意識すると、感動は空の心の中でぶつかってより大きな愛しさに生まれ変わっていく。小さくて華奢な躰、か細くて甘い声。さとり様の総てをこの身に代えてでも守りたいと思うのは、単純にそれが空自身にとって何にも代え難い大事なものであるからだ。

 

「……ぁ、ぁ、ぁ」

 

 肋骨の輪郭をなぞり、空の手のひらがさとり様のお臍の辺りをも這いながら下りていくと、その都度に喘ぎにも聞こえる扇情的な声が紡がれた。不安と期待に満ちた声色、それを裏切らずに腹部を通り過ぎた空の手のひらは、違うことなくさとり様の秘所を求めていく。
 先程舐め取った時よりもさらに多くの愛液を纏わせている秘所は、軽く表面を撫ぜるだけでも空の手を熱い蜜で一杯にしてしまう。まだ体温が残る温かな愛液、それは陰唇からぐぐっと押し入るようにさとり様の裡を求めれば尚更、顕著に指先や手のひらを埋め尽くしていく。

 

「えっちですね、さとり様。待ちきれなかったのですか?」
「え、ええっ!? そ、そんな意地悪言わないで下さい……」
「……すみません。可愛いさとり様を見ていると、少し意地悪したくなってしまいました」

 

 嘘の無い言葉。苛めたくなる無垢な可愛さが、さとり様にはある。
 だから空も、より積極的な形で。そのお躰を求めずにはいられなくなるのだ。