■ 150.「斯く熱めく - 37」

LastUpdate:2009/09/27 初出:YURI-sis


「あ、ああっ! ひ、ぁ、あああっ……!」

 

 ぴんと緊張しきっているさとり様の躰。先程までの空なら緊張がすぐにでも伝染してしまって、がちがちに緊張してしまっていたことだろうけれど。先にさとり様に愛して頂いて絶頂を迎えることができたせいだろうか。不思議と空の心には少しだけの余裕があって、緊張しているさとり様をただ愛しい気持ちの儘に愛でることができていた。
 最愛の人。求めたいと想う気持ちが、そのまま空に指先を走らせていく。不慣れな儘に行使する指先だけれど、愛撫によって生まれる刺激そのものを、さとり様が表情や声に乗せて届けてくれるから。少しずつ学びながらより的確に敏感な個所を見つけては、さとり様を追い詰めていく。
 時にはすりすりと撫でさするような愛撫、時には容赦なく責めたつ指先。熱く息づく薄紅の膣口は刺激の都度小さく戦慄いて応えてみせて。とろとろに蕩ける膣肉の襞を指先で攪拌すれば、新鮮な愛液がより密度を増して滲み生まれていくばかりだ。

 

「はああ、ああっ……! 空、空ぉ……!」

 

 先程一度だけついた敬称はもう消えていたけれど、切羽詰まった声で紡ぎ出される自分の名前は、どんなものよりも特別に空の心に響く感覚があった。名前を呼ばれる度に、空もまた心の中で誰よりも強くさとり様の名前を呼ぶ。口に出さなくてもその声はちゃんとさとり様に届いている筈で、名前を呼び合う度にちゃんと繋がっている二人の間の何かを確かめることができている気さえしていた。
 普段の怜悧さを失った、陶然とした瞳。今にも吸い寄せられそうになる、陶酔しきった表情はこんなにも淫靡なのに。けれどやっぱり、どこか清楚な雰囲気がさとり様にはあるから不思議だった。
 きっと特別な人しか見ることができない、特別な姿を惜しげもなく空の眼前でさとり様は晒して下さっていて。見つめるだけで、虜にされてしまう。どんどん強く惹かれすぎていく自分を、空自身怖いぐらいに意識できてさえいるのだった。