■ 179.「持てる者の檻」

LastUpdate:2009/10/26 初出:YURI-sis

 特別な人の躰は幾度愛しても飽きることはなく、こうして指先で激しく求める都度に霊夢は新鮮な反応を返してきてくれるし、魔理沙自身にとっても毎回新しい感動を覚えさせてくれるから不思議だった。誠実な愛撫に返される甘い嬌声、乱暴な愛撫に返される小さな悲鳴混じりの声、執拗な愛撫に返される涙混じりの声。いずれもが、立ち所に心を掴んで話さなくなって――魔理沙は性愛の齎す酩酊の淵から逃げられなくなる。
 心酔の儘に霊夢のことばかりしか考えられなくなって、その思考の儘に延々と霊夢の躰を求めて止まなくなる。幾重にも変化する七色の嬌声が全部心の深い部分にまで届いてきて、霊夢の声が思考をより不確かなものに蕩けさせてしまえば尚更、魔理沙は馬鹿みたいに霊夢の躰を求めるようになる。――これも一種の悪循環なのかもしれない。

 

「あ、ああっ……! はっ、ぁ、ひぃあああっ……!」

 

 知り尽くした霊夢の躰を追い詰めるのに時間は必要ではなくて、魔理沙の指先は容易く霊夢を追い詰めていく。乱れ飛ぶ嬌声には快楽が色濃く混じっていて、同時に霊夢が感じてくれている気持ちよさは少なからず魔理沙にも返ってくる。何しろ自分のすぐ下で、愛する人が感じてくれているのだから。
 霊夢のことをもっと激しく乱れさせたいと思う。自分のことだけを感じて、自分の指先意外に意識を向けられないようにしてしまいたいという奇妙な欲求。酷く何かを間違っているようにも思えて、けれどとても純粋であるかのようにも思えてしまう征服欲求にも似たそれは、ある意味で恋愛の本質に近いものであるのかもしれなかった。

 

「魔理沙、魔理沙ぁ……」

 

 名前を呼ばれる度に、熱い感情が心に込み上げてくる。嬉しさと幸福感、それと何か沢山の快楽で構成されたそれは、途方もない幸福感を魔理沙の心に与え、満たしてくれる。

 

「――可愛いぜ、霊夢」
「まり、さぁ……」

 

 少しだけ気障かな、とも思いながら。右手で霊夢の秘所を苛む一方、左手でくいっと彼女の顎を持ち上げると。きっと霊夢も同じことを望んでいてくれたのだろう。喘ぎが止まらないせいか唇を閉じるのはとても苦しそうに見えるのに、それでも頑張って唇と瞳を閉じながら魔理沙の唇を受け入れてくれた。