■ 193.「群像の少女性」

LastUpdate:2009/11/09 初出:YURI-sis

「――案外、モモはエッチだな」
「そ、そういうこと言うっすか!? ひ、必死に恥ずかしいのを我慢してるのに」
「ふふ、済まない。……モモの困った顔も好きだから、少し意地悪になるのを許して欲しい」

 

 好きだから、苛めたくなる。
 そんな心理もあるのだと目にしたのは、何かの小説だっただろうか。確かに、今のゆみにはその気持ちが少なからず判るような気がした。

 

「何だか先輩、ちょっとだけ苛めっ子みたいな目をしてるっす……」
「そう、か?」

 

 内心を言い当てられたような気がして、一瞬びくりとする。
 けれど実際、そういう気持ちになっていたのだから、モモの指摘には違う所がない。

 

「……そう見えるなら、そうかもしれないな」
「えへへ。何だか先輩のその目を見てると……ちょっとだけ『苛められたい』なんて思っちゃうっす。やっぱり、私は先輩の言うとおりエッチなのかもしれないっすね」

 

 嬉しそうに目を細めながら、そう告げてくれるモモ。

 

「エッチなモモも好きだよ。私だって、きっとモモが思ってるよりはずっとエッチだからな」
「そうなんすか? ……期待しちゃうっすよ?」
「期待されたら応えないわけにはいかないな」

 

 今まではモモを押し倒してベッド代わりに使っていた部室のソファー。ゆみは身体を起こしてソファーに正しく腰掛けなおしてから、自分の膝をぽんぽんと叩いて促すようにモモを誘ってみる。
 ゆみが自分の膝に座るよう促していること自体はモモにもすぐに伝わったみたいだったのだが。ソファーから立ち上がってゆみの目の前まで来ると、モモは「うーん」と困った顔をしてみせた。

 

「先輩。……多分私がそこに座ったら、先輩のスカートを汚してしまうっす」
「む、それは気づかなかった」

 

 確かにモモの指摘する通り、ソファーの上でモモの躰に少なからず愛撫の指先を這わせてきたことで、モモの下腹部は決して少なくない量の愛液を纏わせてしまっていた。