■ 92.「緋色の心」
「ああ、ごめんなさい。もうこれ以上、我慢するのは不可能だわ。――天子」
「は、はい」
「あなたが私のものだというのなら、お願いがあるわ。すごく身勝手なことで申し訳ないのだけれど……今からあなたの意志を無視して、自分の意志を優先させても構わない?」
本当に申し訳なさそうに、眉の端を下げながらアリスさんはそう訊いてくるけれど。
私はアリスさんの所有物なのだから。そんなこと、わざわざ訊かなくても構わないのだ。
「はい、もちろんです。私はアリスさんの意志に付き従いたいですから。……何なりと、ご命令頂けましたら」
「だったら、あなたが望む通り『命令』するわ。――いまから私と一緒に寝室まで一緒に来て頂戴。私、もう我慢できないぐらい……あなたのことを抱きたくなってる」
「ぁ……は、はい! 喜んで、お相手させて下さいっ」
差し出して下さるアリスさんの手を取って、天子は階段を上る。
これから抱いて頂けるのだと思うと、胸の鼓動は高鳴っていく一方だった。
(※ごめんなさい。歯痛が引かない為、超短文の簡易更新です)