■ 49.「群像の少女性14」
「はあうっ……! んぁ、あっ! はぅう、んぁ、ああああっ……!」
萃香の小さな躰が精一杯の強さで撓る。
愛し合う行為を始めた時にはもう、霊夢の指先に吸い付くかのような感触を帯びる程度に、しっとりと湿っていた萃香の肌だけれど。激しい行為が齎す発汗のせいだろうか、今はそれ以上の粘度で霊夢の指先に纏わりついてくるかのようだ。
普段は弾幕ごっこの直後にさえ、さほど呼吸を乱すことさえない萃香なのに。性愛の中では彼女の強靱さもすっかり鳴りを潜めて、本当にただのか弱い少女のようにびっしりと肌という肌に汗を纏わせている様子は、なんだか新鮮で……そして嬉しかった。指先に愛されれば、少女はきっと誰もがか弱くなるのだろう。愛されることを許すと言うことは、そのままどんなにも弱い自分の姿を相手に見られても構わないという、強い意志の形でさえあるのかもしれなかった。
「あぁああああぅ……! も、もうダメぇ、霊夢ぅっ……!」
「ええ、我慢しないで。萃香がいくところを、私に見せてね」
「れ、れいむっ! れいむぅ、っ……!」
萃香の躰がこれまで以上に、弓なりに一際大きく反りながら震える。萃香の躰の中に呑み込まれている霊夢の指先にも、与えられすぎた快感に萃香の躰が屈する際の、夥しい震えが直接伝わってくるみたいだった。
それまでの快楽に喘ぐ時に発していた大きな声とは打って変わって、萃香は声を詰まらせながら静かに絶頂を迎えたみたいで。それは決して声を我慢したわけではなく、単純に呼吸が上手くいかない様子で。息を詰まらせてしまうのと一緒に、声ごと喉に詰まらせながら静かに達したように霊夢には見えた。
静かに達したとはいえ、そこにどれほど大きな絶頂があったかは察するに難しくない。例えば達する間際の、そして達した直後の切羽詰まった萃香の表情一つだけでも、その衝動の大きさは十二分に霊夢にも理解できる気がした。