■ 139.「斯く熱めく - 26」
本当はさとり様が下になると言ってきて下さったのだけれど。いかに柔らかなベッドの上でとはいえ華奢すぎるさとり様の躰に負荷を掛けるのは申し訳なくて、なんとかそれだけは拒否を貫いて空のほうから先にベッドに躰を横たえてしまう。
躊躇いがちに横になった空の顔の上を跨ぐさとり様の表情は、今まで見たことがないぐらいに申し訳なさそうに見えて。先程まであんなに積極的に強請ってみせていたのが、まるで嘘みたいだった。
「し、失礼しますね……」
そう告げると、さとり様は静かに空の上に躰を下ろしていって。やがて、一人分の体重としては軽すぎるほどの重みが空の躰全体に掛かってくると、改めて自分が下になることを提案してよかったと空は思わずにはいられなかった。こんなにも軽すぎるさとり様の躰を組み敷いてしまっては、私の重みや力で壊してしまいそうに思えてならないからだ。
空の目と鼻の先に、僅かにさえ隠れもしないさとり様の秘部がさらけ出されている。もちろん同じように、さとり様のお顔のすぐ前に空の秘部もまた露わになっている筈で。時折さとり様が零す吐息が空の敏感になっているそこに掛かってくると、あまりの恥ずかしさに気がどうにかなってしまいそうだった。
それでも視界一杯に映るさとり様の秘部が否応なしに空を現実のそれへと引き戻してしまう。滴るほどの蜜を纏わせたさとり様の蕾は、怖いぐらいに魅力的に空には見えて。
「ふぁ……!」
おずおずと舌先を伸ばすと、どこか遠い場所から小さくさとり様の喘ぎの声が聞こえてきて。構わずにまだ体温を残しているその温かな蜜を掬って舐め取ると、つい先程感じた無機質な味が総て嘘であったかのように、蕩けるような深い甘さを感じる気がするから不思議だった。